休眠担保権

相続登記の依頼を受けていますと、むかーし、むかしの抵当権の登記が残ったままの物件に出くわすことがあります。

毎年、少なくとも1件以上はあります。

大正や明治時代にお金を借りた際に、抵当権設定しているケースが多くあります。

完済している場合も、してない場合もあると思いますが、

担保権者とは没交渉になり、お金の行き来もなく、担保の抹消もされないまま、何十年も経過し、

相続が発生し、さらに担保は置き去りにされていく・・・というパターンではないでしょうか。

このような抵当権を休眠担保権といいます。

 

通常、抵当権の抹消は、完済するとすぐに、担保権者と担保設定者が協力して、抵当権抹消登記を申請することになります。

住宅ローンを完済したときは、金融機関が抵当権の登記済証や抵当権解除証書など登記に必要な書類を、担保設定者に交付します。

担保設定者は、司法書士に依頼するなどして、この書類とともに、法務局へ抵当権抹消登記を申請することになります。

 

休眠担保権である抵当権の場合は、どうするのか?

登記されている担保権者から数回の相続を重ねると、だれが相続したのか?相続人がどこに住んでいるのか?も分からなくなり、

抹消登記に必要な書類の交付はまず受けられません。

このような場合に、不動産登記法は、担保権者の協力がなくても、供託することで担保抹消できるように規定しています。

登記簿に記載されている債務の元金と供託する日までの利息を合わせて法務局に預けることで、

完済扱いにし、担保を抹消するのです。

大正時代の抵当権だと、供託する金額はせいぜい数千円ぐらいです。

しかーしです!

今年依頼を受けた案件の中に、おそろしい金利がありました。「元金1円につき、日歩2銭」と登記されていました。

年利700パーセント超です!ヤミ金も真っ青です。

今年までの利息を計算すると、だいたい100万円ぐらい供託しなければなりません。

この案件は、不幸中の幸いで、担保権者が法人であったため、供託の手続きによらず、

裁判所が選任する清算人と共同で担保抹消できました。

これはこれで、供託で抹消するよりも面倒で費用もかかるのですが、

100万円供託するよりは断然マシです。

とまあ、担保というのは放置したら大変だよというお話です。

 

そんな昔の話、うちには全然関係ないわと思わないでください。

現在でも、似たようなことは起こりえます。

今年あった案件では、ある銀行の住宅ローンを10年ちょっと前に完済し、担保抹消をしていなかったケース。

その後、その銀行は破たんし、解散しました。

2000年前後の金融大再編で、現在、存在しない銀行が結構あります。

このような場合も清算人と共同で担保抹消しなければなりません。

住宅ローンを完済されたときは、速やかに担保抹消登記をされることをお勧めします。

担保の抹消は香里司法書士事務所へどうぞ。

 

 

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