後見人になったら自由に財産を使える!?
「親の後見人になったら、その財産を自由に使える。」
「相続対策で預貯金を自分に移してしまおう。」
なんて、相談を受けたことが何度もあります。
これ大きな間違いです。
ところで、いま、弁護士もののドラマが3本ぐらいやってるみたいですね。
僕は、そのうちの一つを毎週録画して楽しみにしています。
弁護士に憧れているわけではないんですけどね。
主役の女優さんが好きで見ています。僕より1つ年下です。相変わらず綺麗です。
で、先日の第5話は離婚問題でした。
夫に20億の財産があって、
いま離婚すると財産分与の協議で妻が5億もらえる、と決まりかけた。
ところが夫が不慮の事故で延命治療状態になってしまう。
離婚しないまま、夫が亡くなると、
妻に10億、不倫相手のお腹にいる子に10億、相続されることに。
ここで妻が成年後見人制度を利用すれば、夫の延命治療中は20億を自由に使えるので、
胎児が相続する予定の10億を減らしてしまうことができる。。。
弁護士同士の会議でこんなシュミレーションがされていました。
そーんなわけないやろ!ってツッコミました。
まあ確かに、この妻が成年後見人になれば、
夫の口座からジャンジャンお金を引き出すことができるし、それを妻の口座に移すこともできる。
妻が買いたいものを買うこともできます。
でもこれ、横領です。成年後見人という立場を利用した業務上横領。
大きな財産を管理するケースなので、妻だけを成年後見人に選任するといったことを
家庭裁判所はしません。妻を後見人に選任するなら、必ず司法書士や弁護士を
後見監督人に選任します。あるいは、当面使う必要のない預貯金を信託銀行に預けて許可なく使えなくしてしまいます(後見支援信託といいます)。
なので、20億を自由に使えるなんてことはないし、成年後見人の私的に使えば、場合によっては
業務上横領でタイホだあ!となりますから。
現実の僕の仕事の話に戻って、
「父親の成年後見人になりたいので相談に乗ってください」という電話で、
枚方や寝屋川や交野や、、、とあちこち出張相談に行ったこともありますが、
勘違いされていて、成年後見の仕事につながらず
結局、無駄足だったなあということがあります。
つまり、
「このまま放っておいたら、父親の相続税をたくさん取られる。」
「認知症で父親は銀行手続きはできないけど、後見人になれば、お金を引き出せる。」
「そう銀行員に聞いたんだけど、後見人選任の手続きをお願いします。」という相談なんです。
「ぜんぜんダメです!成年後見人の仕事は本人の財産を守ることです。相続税対策で、息子に贈与することはダメです!」と僕が話すると、がっかりされます。
そして成年後見人選任手続きという僕の仕事にもつながらず、僕もがっかりということが何度となくありました。
あのドラマ見て、勘違いされる方が増えませんように。
それにしても、やっぱり綺麗なので、今後も僕はこのドラマを楽しみにしています。