休眠担保権のおはなし~農業会の担保の抹消登記
「元金1円につき日歩2銭1厘」という
何かの間違いであろうと思われる利息も含めて
100万円近い供託をして担保の抹消。
実はこのケース、供託しなくても担保抹消できたのでした。
このケース、抵当権者は
「保証責任○●信用購買販売利用組合」と登記されていました。
これは今でいう農協みたいなものだと思います。
その後、昭和19年にこの組合は
「○●市農業会」に承継されたました。
農業会はその後、現在の農協に引き継がれたものもあれば、引き継がれず解散したものもあったようです。
このケースの農業会は後者でした。
法人が消滅し、その役員も死亡しているので、手続きをする人がいません。
そこで、裁判所にこの法人を代表する清算人を選任してくれるよう申立て、
清算人と担保抹消の手続きをすることになりました。
清算人の権限は、この担保抹消に限られており、
実際には、
「保証責任○●信用購買販売利用組合」から「○●農業会」へ登記名義を移転する登記と
担保抹消の登記をしてもらいました。
大昔に清算され、債権も無くなっているあるいは時効になっている公算が極めて大きいので、債権を放棄するという形で、担保の抹消をしました。
ということで、100万円の供託をしなくても済んだのでした。
ですが、それでもかなりの手間と費用が掛かりました。
やはり、担保の登記はほったらかしにすると痛い目にあいます。
しかも子孫が痛い目にあったりするので余計に辛いですね。
農家でもないし、全然関係ないわ!とは思わないでください。
似たようなことは普通の住宅ローンでも起こりうるんです。
例えば、破たんした銀行の担保です。どこかの銀行に承継された銀行もあれば、
解散してしまった銀行もあります。
その場合は、また清算人登場ですので、
やはり、担保の登記はほったらかしにしないでくださいね。