個人民事再生とは
債務者が支払不能になるおそれがある場合に、債務を原則5分の1(但し、最低額100万円)に減額し、 原則3年間で分割弁済する手続きです。
継続的に又は反復して収入を得る見込みがあり、住宅ローンを除く債務が5,000万円以下であること等の条件があります。住宅資金貸付債権の特則を使えば、住宅ローン以外の債務を5分の1に減額、3年間分割弁済し、原則として住宅ローンをそのまま弁済し続けることで住宅を所有したままの生活再建が図れます。
個人民事再生のメリットとデメリット
個人民事再生のメリット
- 住宅を残すことが可能です。
- 浪費、ギャンブルなどを原因とする借金でも手続きが可能です。
- 自己破産と異なり、資格制限がありません。
個人民事再生のデメリット
- いわゆるブラックリストにリストアップされます。これにより約5~10年の間、借り入れができません。
- 官報に氏名住所等が掲載されます。(しかし、一般人で購読している人は少ないでしょう)
- 保証人がいれば、保証人が借金を返済していくことになります。
- 他の手続に比べて時間と費用がかかります。
(相談を受けてから、支払スタートまで6ヶ月から10ヶ月程度)
個人民事再生のよくあるご質問
- 戸籍などに債務整理の手続きしたことが載るのでしょうか?
- 戸籍や住民票には載りません。
- 選挙権がなくなるのでしょうか?
- なくなりません。国民の重要な権利です。きっちり投票に行ってください。
- 会社を解雇されないのでしょうか?
- 個人民事再生手続きを理由に解雇することは違法です。裁判所から会社に通知されることはありません。ただし、勤務先に借金がある場合、勤務先も債権者ですので、知られることになります。
- 家族、知人、会社等に知られずに債務整理手続きをすることができますか?
- 司法書士や裁判所が,手続きについて、本人以外に伝えることはありません。上記質問を参照ください。
大阪地裁での手続きの場合で、司法書士が関与している場合は郵便物を司法書士宛に送ってもらえますが、それ以外の裁判所では郵便物を本人宛に送ることがありますので、家族に知れることはありえます。しかし、経済的再生には生活の見直しが不可欠であり、家族の協力なしには困難ですので、本人から伝えて、協力を求めることをお勧めします。また、官報に氏名住所等が掲載されますが、一般の人が購読していることは稀ですので、知人に知られる可能性は低いでしょう。
個人民事再生の費用(消費税込み)
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- 住宅資金特別条項適用なしの場合、基本報酬として275,000円
- 住宅資金特別条項適用ありの場合、基本報酬として330,000円
但し、債権者数10以上又は事案複雑な場合、別途追加報酬発生の場合があります。
- 過払金の返還を受けたときは、返還過払金の20%相当額+消費税を成功報酬とする。
- 裁判所への実費支払が別途必要となります。
- 交通費、郵送費別途必要となります。
借金問題の解決方法の比較
概要 | |||
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任意整理 | 特定調停 | 個人民事再生 | 自己破産 |
債権者と弁済方法(将来利息・損害金のカット、弁済期間等について)を裁判外で和解交渉します。 | 債務者と債権者との間に裁判所の調停委員が入り、残債務の弁済方法等につき和解を図ります。 | 債務を原則5分の1(但し、最低額100万円)に減額し、 原則3年間で分割弁済する手続きです。住宅ローンはそのままで、その他の債務を減額する手続きも可能。 | 債務者の財産をもって債権者に公平に清算し、裁判所の免責許可決定により、それ以上の返済義務を免除します。 |
今後の支払 | |||
任意整理 | 特定調停 | 個人民事再生 | 自己破産 |
和解交渉した額を原則3年から5年での分割弁済します。 | 和解交渉した額を原則3年から5年での分割弁済します。 | 5分の1又は100万円に減額した額を、 原則3年間で分割弁済します。住宅ローン特則の場合、住宅ローンはそのまま払い続けます。 | 免責決定後の支払義務はありません。 |
メリット | |||
任意整理 | 特定調停 | 個人民事再生 | 自己破産 |
依頼した時点で業者の督促、請求が停止します。 損害金のカットも交渉可能。 過払金が発生していれば、元本が減少します。 過払金により元本を完済している場合、残った過払金の返還を求めることができます。 |
依頼した時点で業者の督促、請求が停止します。 債務者自身で手続可能。 手続費用が安い。 浪費やギャンブルなどを原因とする借金でも手続きが可能です。 |
依頼した時点で業者の督促、請求が停止します。 一定の場合を除き、住宅を処分せず借金を整理することができます。 浪費やギャンブルなどを原因とする借金でも手続きが可能です。 |
依頼した時点で業者の督促、請求が停止します。 免責決定されれば、債務は全てなくなります。 |
デメリット | |||
任意整理 | 特定調停 | 個人民事再生 | 自己破産 |
約5年は融資利用やクレジットカードを利用できなくなることがあります。 | 和解後、支払が滞ると、直ちに強制執行(給料の差押など)を受けることがあります。 約5年は融資利用やクレジットカードを利用できなくなることがあります。 調停が成立するまでの損害金が加算される可能性があります。 過払金の返還を和解の内容とすることは困難(別途訴訟が必要)です。 |
他の手続きに比べ時間と費用がかかります。 約5~10年は融資利用やクレジットカードを利用できなくなることがあります。 |
浪費やキャンブル等による債務の場合免責決定されないこともあります。 資格制限により一定の職業には就くことができません。 但し、免責決定により資格制限はなくなります。 住宅などの財産は換価処分されます。 約5~10年は融資利用やクレジットカードを利用できなくなることがあります。 |
要する期間 | |||
任意整理 | 特定調停 | 個人民事再生 | 自己破産 |
2~4ヶ月(但し、裁判になればさらに長期化の可能性あり) | 調停申立てから調停が成立するまでに3ヶ月程度 | 相談を受けてから、支払スタートまで6ヶ月から10ヶ月程度 | 破産申立てから6ヶ月程度 |