不動産の名義を変えるには「原因」が必要
不動産の名義を変えたいのですが・・・というお問い合わせがしばしば寄せられます。
不動産の名義を変えるには、名義を変える「原因」が必要です。
この「原因」は「単に変えたいから」「将来何かあったときのために」という理由ではだめで、次に掲げるような理由が必要となります。
- 売買
- 不動産の譲渡とその代金の支払いを約する売買契約が必要です。
- 贈与
- 不動産を無償で譲り渡す、譲り受けるという贈与契約が必要です。
- 財産分与
- 離婚に伴い、夫婦間で不動産に関する財産分与の協議や、調停が必要です。
- 交換
- 2以上の不動産を交換する契約が必要です。
- 時効取得
- 他人の不動産を自己のものとして一定期間占有することが必要です。
名義変更の登記(所有権移転登記)をするには、以上のような原因を証明する書面を法務局に提出する必要があります。この中で、よくある原因が「売買」と「贈与」ですが、以下に述べるように、しっかりとした契約の履行を伴わなければ、のちに、名義を変えたことを後悔することにもなりかねませんので注意が必要です。
売買による所有権移転の登記
「売買」を原因として所有者を変える登記をするには
- 売主(所有者)と買主それぞれ本人による売買契約が必要です。
売買の契約を代理人がすることは法的には可能ですが、登記をするには必ず、いくつかの書類に本人の署名捺印が必要です。 - 売買契約は通常、不動産を引き渡す代わりに、代金を支払うという内容になりますが、代金の支払いは重要です。通常は不動産の引渡と同時に代金全額を支払うことになります。もし、売買契約をしただけで、実際に代金が支払われなかった場合、贈与とみなされ、多額の贈与税を請求されることがありますのでご注意ください。
- 売買契約が整い、不動産の引渡、代金の授受が行われた後、必要書類を添えて、法務局に所有権移転の登記申請をすることになります(登録免許税についてはこちら)。
一般的に必要書類は次のとおりです。- 登記原因を証明する書面(売買契約書など)
- 権利証又は登記識別情報
- 売主の印鑑証明書(3か月以内のもの)
- 買主の住民票
- 固定資産評価証明書
- 司法書士への委任状
事案により、これ以外の書類が必要な場合もあります。
不動産の売買には、特に売主には重要な責任が課されますので、信頼できる不動産業者のアドバイス、仲介を受けることをお勧めいたします。
贈与による所有権移転の登記
登記をするまでの流れは次のとおりです。
- 贈与契約を締結する。
- 不動産を引き渡す。
- 必要書類とともに登記申請する(登録免許税についてはこちら)
贈与の場合は不動産を譲り受けた者が贈与税をのちほど支払う必要がありますが、贈与税は、最も税率が高い部類の税金です。贈与の登記をした後に、請求が来てビックリするようことがないよう事前に税理士などにご相談されることをお勧めいたします。(贈与税については国税庁をご参照ください)
夫婦間贈与
夫婦間の贈与で以下の要件を満たす場合には贈与税の控除が受けられます。
要件 | |
---|---|
婚姻期間 | 20年以上 |
贈与する財産 | 居住用不動産または居住用不動産の購入資金 |
居住者 | 贈与を受けた配偶者が贈与を受けた年の翌年の3月15日までに、贈与を受けた不動産に居住し、そのまま居住し続ける見込みがあること 詳しい手続きは国税庁のホームページをご参照ください。 |
贈与に関する制度として、他に相続時精算課税制度もあります。
登記するには登録免許税を納めなければなりません。
登記申請の際に、収入印紙を貼って納めます。税率は以下のとおりです。
不動産登記の登録免許税
- 土地の売買による所有権移転
- 固定資産評価額の1.5%
- 建物の売買による所有権移転
- 固定資産評価額の2%
- 贈与、財産分与、交換などによる所有権移転
- 固定資産評価額の2%
なお、売買する不動産の条件によっては、税の軽減が受けられることがあります。
その他の税金
贈与の場合に贈与税を納めなけらばならないことは既に述べましたが、その他の原因による所有権移転でも、譲渡税(所得税、住民税)、不動産取得税などの税金が掛かる可能性がありますので、詳しくは税理士、税務署などにご相談ください。
不動産の名義変更 費用例(消費税込み)
寝屋川市の一戸建の贈与の登記
土地一筆60㎡(評価額500万円)
建物一棟90㎡(評価額400万円)
の物件を贈与する場合、
- 司法書士への報酬約66,000円~110,000円(司法書士報酬は事案により差があります。)
- 登録免許税180,000円(登録免許税は評価額の2%です。)
- 登記簿謄本代など諸費用
あわせて246,000円~290,000円程度となります
以上は様々な条件の中の一例ですので、詳しくは当事務所までお問い合せください。